寒さ深まる今日この頃、兼ねてより計画していた企業とのコラボした学習会企画がようやく実現できました。
※一度、感染状況を踏まえての延期があったので…
その名も「運転と地域指導支援 セニアカー学習会」です。
脳血管障害罹患後の運転評価に携わる施設数の増加(OT協会より)や、世間的も高齢者運転、返納後の移動支援への関心が年々、高まっているかと思います。ですが、医療機関として運転支援に関わることができるのは、診断書発行前の運転評価の機会に関わることが主であり、退院後に移動支援に関わることは実際的には難しいことが現状です。
今回、退院支援するにあたって、屋内歩行はなんとか自立したけれど、さすがに屋外歩行は一人では難しい。でも、1人暮らしなのでコンビニやスーパーに買い物に行きたい。そうだ、(父親が使っていた)セニアカーを使いたい。という要望に沿って、退院時に一緒にセニアカーの試乗評価を行いました。このケースの経験を通して、福祉業者とメーカーさんとの連携を図る機会があり、ぜひ、この経験を他のリハスタッフとも共有したいという思いで、相談したところ、今回の学習会につながったことがきっかけでした。
地域の移動支援といっても、手段や方法は様々だと思いますが、今回はセニアカー、電動車椅子中心に、どういった方が対象になるのかを症例として提示していただり、実際に見て触れての試乗体験の機会を設けさせていただきました。最新機器の紹介もあり、アパートの一室で小回りが効き、車いすの概念を覆すデザインの「WHILL」や、電動と手動を切り替えられる車椅子、驚いたことにパワーアシスト機能で介助者が押す力がほとんどいらず、坂道を片手でスイスイと昇降できる車椅子「JWアクティブ」などの紹介があり、ここ数年、福祉機器の進化を感じる機会でした。
また、セニアカーについても、実際の提案にあたって、介護保険でレンタルにあたっての保証内容(保険やメンテナンス)など、企業の方と直接的にレクチャーを受ける機会となり、今後の退院支援などで移動手段として具体的な提案につながればよいなと思う次第でした。
病院では目の前のケースにとって何ができるか、とことん突き詰められますが、病院から地域というフィールドに視点を向けたときに、「環境」という視点を踏まえて何が提案できるかということが考えさせられました。そういったときに、まず知識として持ち合わせているか、症例として経験をしているかで、退院後の生活の選択肢を大きく変えられるという感想をもつことができ、非常に有意義な経験となりました。
今回、協力いただいたサクラケアのスタッフの皆様、福祉機器メーカーのセリオ様には感謝の言葉しかありません。ありがとうございました。