今日は SDH 健康の社会的決定要因 について学習会を行い、法人のリハ技師約60名が集まりました。

世界保健機関欧州地域事務局は、健康の社会的決定要因(Social determinants of health)に関する意識の向上を目的として1998年よりソリッド・ファクツ(しっかりした根拠のある事実)を公表しています。ソリッド・ファクツでは、社会的決定要因として、10項目(社会格差・ストレス・幼少期・社会的排除・労働・失業・社会的支援・薬物依存・食品・交通)を説明しています。

リハ技師は他の医療専門職と比較し、実生活へのアプローチが多く、社会的側面を評価し関わってきた歴史と必要性があること、また「貧困や生活環境が疾病や健康に作用する」-民医連が創立以来抱いてきた問題意識でもあり、今回法人リハ技師部会の主催でこの学習会を企画しました。

講師は 上伊那医療生活協同組合 生活リハビリサポートいな(就労支援B、自立(機能)訓練多機能事業所)作業療法士 中村賢二氏です。

ストレスは要求の高さと自己裁量の低さとの組み合わせであり、自己裁量の範囲が健康にとって重要であること。相対的貧困は所属する社会の平均収入の60%以下の水準で生活している人を指し、相対的貧困や失業は世間並の住環境、教育、交通等といった生きていくことに不可欠な要素との接点を阻むこと。社会的に支えられていると感じることが生きていく上での精神的、現実的な励みとなることなど、SDH10項目を様々なデータや資料を用いて説明していただきました。実際にSDH10項目の視点で分析を行うワークショップも実施し、活発な意見交換ができ、大変勉強になりました。

昨今、健康や疾病について自己責任等と言われることもありますが、疾病は生活習慣の要因ばかりではなく、また生活習慣が要因であっても、それを構築する社会的・経済的な背景が大きいことを私たちは忘れてはいけません。

広い視野を持って、誰もが 社会的に支えられている と感じてもらえる支援ができるように、そういった社会となっていくようにと願っています。

上伊那生協病院 橋場美樹