月別: 7月 2019

拘縮・褥瘡・嚥下に影響するベッド上の姿勢ケア ポジショニング/ギャッチアップのあり方 伝達講習会

 先日7/1に「拘縮・褥瘡・嚥下に影響するベッド上の姿勢ケア ポジショニング/ギャッチアップのあり方」に関して、大渕哲也PT主催の勉強会に参加した当院百瀬PTによる伝達講習会を開催しました。私たちが関わる患者様の中にはベッド上で過ごす時間が多い方もいらっしゃる中で、リハビリテーションの時間以外も24時間、365日の生活場面における身体管理は重要と考えます。いわゆる不良姿勢、良くない姿勢が呼吸や筋緊張、精神的状態、排泄面にどう影響を与えるのか、ベッド上でのポジショニングはどうすれば良いのか、講義・実技を経て活発にディスカッションが行なえました。

ディスカッションでは「食事姿勢でも自ら食べる姿勢と食べさせてもらう姿勢は違うのではないか」、「最近の福祉用具として自動で対向(姿勢を変える)できるエアマットがあるがどうか」、「普通のマットとエアマットの違いに対しどうポジショニング検討すれば良いか」など、今回の内容から発展して多くの疑問が挙げられ、それに対し議論することも出来ました。

私たちは患者様の「やりたいことが出来る」、「良くなる」、「痛い・苦しいことが少しでも楽になれる」ことを達成できるために日々勉強し、リハビリテーションの質の向上を図っています。しかしリハビリテーション以外の時間でも私たちが関われることが多くあるという事をこの伝達講習会を通して学ぶことが出来ました。

当院では学習係を中心に1年間を通してリハビリテーション部門のスタッフ全員が伝達講習会を開催できるように進めております。今後も学習会・伝達講習会を継続して開催し上伊那生協病院のリハビリテーション、延いてはリハビリテーション病棟の質の向上に努めて参りたいと思います。

上伊那生協病院 理学療法士 伊藤俊一

ボツリヌス治療と新しい治療機器の導入

2018年6月に本格的に開始された当院のボツリヌス治療は、この夏で開始して1年が経過しました。

ボツリヌス治療とは、脳卒中(脳梗塞や脳出血など)の麻痺による後遺症として、手や腕、足が固くこわばってしまう症状=『痙縮』を、ボトックスという注射と集中的なリハビリにより、こわばりを軽くするものです。

この麻痺のひとつである「痙縮」は、

・歩いている時に装具を付けないと踵が地面につきにくい、

・歩いていると麻痺した腕が上がってきてしまう、

・指が曲がったままで、手が洗いにくく、爪が食い込んでしまう

・着替えで腕や指が伸びずに着替えにくい(着替えさせにくい)

などなど、生活で様々なお困りごとの原因になる可能性があります。

このボツリヌス治療は、脳卒中により麻痺の後遺症(痙縮)が見られる方であれば、発症からどれほどの期間が経っていても適応となる可能性があるため、上記のような症状の改善の一助になりえる治療法です。

今後も出口医師を筆頭にプロジェクトメンバー全員で、患者様・ご家族様のご希望に沿える治療・リハビリテーションを提供できるように努力して参ります。

 

また、今年(2019年)の6月から上伊那生協病院リハビリテーション課に新しい治療機器「歩行神経筋電気刺激装置『ウォークエイド』」が導入されました。

このウォークエイドは、脳梗塞や脳出血、脊髄損傷などの中枢神経障害の後遺症とされる下垂足・尖足(足首が下を向いてしまい上に上がらない状態)を、電気刺激により歩く際に足首を上げて(背屈させ)歩き方の改善を図るものです。

またその他の効果として、筋の廃用性萎縮の防止、局所血流量の増加、筋再教育、関節可動域の維持・改善などの効果が期待でき、「脳卒中治療ガイドライン2015」においても推奨グレードBとされています。

自分で使ってみた感想としては、電気刺激なので最初は恐る恐るでしたが、身体に害のない範囲の電気しか流れないため、慣れてしまうと気持ちよさを感じられるようになり、刺激の後は足が軽く感じられました。

今後も患者様の状態に合わせて、より良い変化をもたらす一つのツールとして役立てていこうと思います。

上伊那生協病院 リハビリテーション課 理学療法士 内堀純一

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