作者別: rehabili (4ページ / 11ページ)

対談:新人OTの奮闘記

 

こんにちは。上伊那生協病院の回復期リハビリテーション課で主任をやっています、作業療法士(以下、OT)の小林です。

早いもので2022年も、残り1か月。今年もなんだかんだコロナの影響で、当院のリハスタッフも行動制限がある中で日々の臨床に悩みながら奮闘する毎日を送っています。

そこで、今回は、リハブログのテイストをちょっとだけ変えて、新人OTの波多野さん(信州大学卒)に対談方式で、いろいろインタビューをしてみたいと思いまーす。

小林:4月に入職して、はや半年が過ぎましたが…仕事には、だいぶ慣れましたか(笑)?率直な感想として、大変だなって思うところはありますか?

 

波多野:学生時代と違って、生活リズムをしっかりしなきゃいけないので、最初はそれが疲れました。朝も早く起きなきゃで、夜も次の日に備えて早く寝るって感じでした。

今はそれが慣れてきて、疲れなくなりました。健康な生活が送れるようになりました(笑)。

 

小林:正直でいいと思います(笑)。普段の仕事はどんなことを行っていますか?

 

波多野:回復期リハ病棟なので、毎日、リハビリに入って、身体機能の介入中心に患者さんに関わっています。あとは、看護師さんや相談員の方などとコミュニケーションをとることを意識していて、OTなので、患者さんの生活の様子を確認しながら、退院に向けて準備・支援を行っています。

あとは、OTの中で、運転チームに所属していて、OTっぽくて楽しくなってきています。そもそも評価内容や訓練についてなにも知らなかったんですけど、やっと内容や流れがわかってきたので、分析できるようになりたいです。

 

小林:OTっぽいって話が出たけど、OTっぽいってなんだろうね。例えば、運転と一言で言っても、いろいろな捉え方ができるよね。仕事や畑に行くための移動手段として捉える人もいれば、ドライブすることで気分転換を図ったりできるなど、その人にとって捉え方も変わって、まさに“作業”って感じで捉えることができるよね。

 

波多野:そうですね。運転って、IADLですもんね。そう言われると、今、担当している運転リハで関わっている患者さんがいるんですが、元々、運転好きな方で、できなくなってしまって、免許を取り上げられてしまうと、QOLが下がってしまうなって思いました。

 

小林:病気があるから、やみくもに運転はダメ!ではなくて、障害を負った方々が、自分の病気のことを理解して、ちゃんと向き合えるように運転支援はしていきたいね。そのためにも、運転に関わるOTは評価結果から障害像の分析を行って、Drとディスカッションをできることが大事にしたいよね。

 

小林:あと、上伊那生協病院の新人教育は、業務時間内に、臨床に出たときに活かせる知識も含め、姿勢や動作分析のような学習的な要素を取り入れた内容を、職種関係なく、新人教育に組み込んでいるけど、どうですか?

 

波多野:新人教育は、業務時間内に保障されているところもあり、教わった内容が、臨床に活かせていると思います。身体のことは難しいと思ったけど、事例を通しての評価の視点なども解説されているなど、それがわかりやすかったです。

あと、指導者の方が年齢の近めな方なので、相談しやすいです。リハの雰囲気も、職種関係なく、混じって仕事をしているスタッフルームなので、先輩にも話しかけやすいと思います。

 

小林:上伊那生協病院のリハビリはどんな特徴があると思いますか?

 

波多野: 教育とかで、職種関係なく、身体機能のことを深める内容だったので、臨床の視点で、まず身体機能を見ようとする視点は強いなって思います。

自分も意識はしてますが、最近は、それだけじゃ足りないと思っています。動作の原因を考えると、身体だけじゃなくて、高次脳や本人の生活歴の影響も感じるときがあります。最近はOTなので、生活もみるけど、表情変化などをみて、いかに笑顔を引き出せるかを大事にしてます。それは、新人でもできることかなって思っています。

 

小林:評価から、個別性を引き出せる介入って大事なことだと思うよ。

そんな波多野さんが、これからチャレンジしてみたいこと、どんなOTを目指したいですか?

 

波多野:どんなOTになりたいかと言われると、患者さんのできないことに目が行きがちになっちゃうんですけど、身体のことも含め、その患者さんの大事にしていることや患者さんの潜在的なものをもっと引き出せるOTになりたいと思います。

そのために、患者さんをいろんな視点で関われるように、いろんな勉強や研修会に参加したいと思います。

 

小林:これって決めない方がいいかもね。今は、いろいろな可能性を考えて、自分が何に興味をもっているか、少しずつ整理できるといいなって思うよ。それで、学んだ知識をみんなで共有して、生協病院のOTを一緒に盛り上げていきましょう。今日はありがとうございましたー。

 

 

当院のOTは、若手スタッフも多く、コロナ禍もありOTをどう盛り上げていくか、主任として悩みながら日々の臨床に明け暮れる毎日です。そんな中、波多野さんのように、OTの奥深さに触れて、これからいろんなことにチャレンジしようと思っている若手スタッフと一緒に働ける今の職場環境は、自分にとって励みになっているなーと感じた瞬間でした。

 

生協病院では、まだまだ、来年度、一緒に働いてくれるOTを募集しております。詳細に関しては、下記のリンク先より確認できますので、ご興味がある方はのぞいてみてください。

2023年度新規スタッフ・リハビリOT・ST採用について

 

長文にお付き合いしていただき、ありがとうございました。

 

上伊那生協病院 回復期リハビリテーション課

主任 OT小林 和宏

地域住民向け健康づくりセミナーが開催されました!

「上伊那健康チャレンジセミナー」

10月29日(土)に、JA上伊那3階フラワーホールにて、地域住民向けの健康づくりセミナー「上伊那健康チャレンジセミナー」が開催されました。

 

例年、8月から11月の間に「信州まるごと健康チャレンジ(主催:長野県協同組合連絡会)」が実施され、医療生協では組合員の皆さんにパンフレットを配布して健康づくりを促進してきました。

 

そんな健康チャレンジの期間中に、上伊那でも何か健康づくりに関する活動を行おうという声をあげ、健康づくり委員会主催で、上伊那版健康チャレンジ「上伊那健康チャレンジセミナー」を開催する運びとなりました。

 

第一部では、地域の組合員で健康づくりを意欲的に行っている方からの実践報告を行っていただきました。継続する大切さ、途中で挫折しても何とかやりきる工夫など、大変貴重なお話が聞けました。

 

第二部では、「膝の痛み・予防 膝の知識とエクササイズ」と題し、理学療法士の加納拓馬氏をお呼びし開催しました。加納氏は、上伊那生協病院で理学療法士としてのキャリアをスタートさせ、現在は埼玉県で活動しています。膝に関する研究も行っており、講演では一般向けにも分かりやすくお話していただき、後半では痛みに応じたエクササイズを参加者の皆さんと一緒に行いました。

 

 

「実践を通じて有意義な講演でした。一人ひとり、痛みの違いに応じたストレッチを知ることが出来て嬉しかったです。」

 

 

「とても楽しく時間を忘れてお話を聞かせていただきました。今はどこも痛くありませんが、将来の為に、今日教えていただいたストレッチを毎日寝る前にやっていこうと思います。」

 

 

「簡単なストレッチでもなかなか自分でやっていなかったので、これを機会に家でもやってみようと思います。」

 

参加者の皆さんからは、大変満足で有意義な時間が過ごせたと多くの方から感想をいただきました。

 

コロナ禍で失われた、健康に大切な「人が動くきっかけづくり」のため、今回のようなセミナーを今後も実施していき、地域住民の健康づくりに関わっていきたいと思います。

 

上伊那医療生協 組合員センター 作業療法士 有賀康大

コロナ禍でのご家族さまとの繋がり

Aさんはご自宅で畑仕事を日課とし、家族に育てた野菜を食べてもらう事を楽しみに畑仕事をされていました。また日々の様子を日記に記し過されてきました。関わらせて頂く中で“日記をかく”“畑をする”“家族と話したい”と想いがあり、その中でも家族に畑の事を教えたいとの想いが強くありました。

リハビリの中で書字練習を始め、辞書を使いながら文章が書けるようになり、多職種と連携してご家族との交換ノートを始めました。交換ノートには野菜づくりのアドバイスなどを書かれていました。

Aさん自身も野菜を作りの想いもあり、多職種でどのように作業を進めていくのか検討し、ベランダでの野菜づくりに挑戦しました。野菜の成長記録もノート記していました。

この夏ピーマンとキャベツを収穫し、ご家族さまに、自宅で食べて頂きました。食べた感想も書かれておりAさんのとても嬉しそうな姿がありました。現在は、二十日大根と人参づくりをしています。

コロナ禍で出来ない事が増えましたが、その中でもできることを模索しご利用者さま、ご家族さまの想いに寄り添った個別ケアを多職種で共有し継続した関わりを続けていきたいと思います。

はびろの里 作業療法士 中野龍美

老健での口腔ケアを考えよう!

9/21(水)に老人保健施設はびろの里で施設協力歯科医院のみらい歯科クリニック 新村弘子先生より口腔ケアについての ご講義をいただきました。

本日の講義では…

・口腔のケアにおける基本的な歯科治療の知識

・誤嚥性肺炎を予防していくためのケアの重要性

・「食べる」を継続するための歯科、嚥下の機能

などをご講義いただきました。はびろブロックの各部署から日中の時間帯ではありましたが、多数のスタッフが参加し熱心に聞き入っている姿が印象的でした。

令和3年の介護報酬改定では「リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養」の一体的な取り組みの推進が提起されました。はびろの里では多職種と連携しながら利用者様が安全に楽しく食べるためのケアを意識して取り組んでいます。私たちリハビリスタッフもこうした口腔機能・口腔ケアの基本的な知識を積み重ねながら利用者様・ご家族様の想いを実現できるお手伝いをしていきたいと考えています。

 

はびろの里 作業療法士 小原貴之

学生さんとの出会い:一期一会

当院では、OT協会が定める作業療法士臨床実習指導施設の認定を受けており、毎年、県内外の養成校から学生の受け入れを行っております。昨今は、コロナ禍の影響で、以前ほど学生の受け入れはできておりませんが、CCS(クリニカルクラークシップ)における、いわゆる参加型の臨床実習の指導体制をとっており、一緒に患者様の評価と治療介入を、治療者目線で行えるように指導を進めていくことを目指しています。ともに臨床を過ごした経験を通して、当院のリハビリの理念や雰囲気に共感していただき、今現在、一緒に働いているスタッフも多くいます。

 

そんな中、今年の夏、7週間の臨床実習を終えた学生さんより、実習を振り返って感想文を作成してくれました。今回の実習を通して、臨床にあたるにあたって、大事な視点を共有できたんだなと思える感想だったので、一部抜粋ではありますが、ご紹介させてください。

※ なお、掲載にあたり、学生本人の了承はいただいております。

 

スムーズにピンポイントで治療を進めていく過程を見学させていただき、実際に自分も同じように行おうとすると全然スムーズにいきませんでした。どのような姿勢でどこを評価し、どこに焦点を当て治療を進めるかをその場で臨機応変に考えなければいけないので、頭が追いつかず、ひとつの動作をみることで精一杯でした。また、身体の動かし方も先生の真似するだけでも思った通りに動かせず、難しく思いました。動作分析は、正常の動作を理解していかなければどこが違うのか見つけることができません。身体を触診してもこれがなんという筋肉か、どういう作用なのかを理解していなければ意味がないということを学びました。筋肉の位置関係など覚えたつもりでしたが、実際に触っている筋がなんの筋かわからなかったので、文字だけで覚えず、画像などで想像しながら勉強を進めていく必要があると感じました。今回の実習で、今まで習ってきた授業の重要性を改めて感じました。国家試験のための勉強方法と臨床のための勉強方法は全く同じではいけないと思いました。

 

最初は座骨を感じるとか、上腕骨頭内での上肢の動かし方とか患者さんの身体の動きを感じとるということが全く分かりませんでしたが、徐々に感じられるようになり、感覚が理解できた時は嬉しかったです。

人の身体は不思議で面白いです。誘導の仕方で簡単に動いたり動かなかったり、正直だと感じました。上肢の介入で下肢が良くなるなど、治療を通して全身の繋がりを実感しました。

 

わたしは信頼される作業療法士になりたいと思っています。信頼されるというのは、対象者とコミュニケーションをとり関係を築くこと、些細な変化に気づくこと、対象者に合った作業療法を行うことなど色々ありますが、信頼されるというのは評価結果(根拠)や治療目的、治療後の変化を言語化し、対象者に分かりやすく伝えることが出来ることだとこの実習を通して思いました。実際にそういったコミュニケーションをとりながら治療介入したときの方が患者さんと通じあっているように感じることができました。また、患者さんの表情も緩み、笑顔も増えると感じました。

(※ 感想文より抜粋し、一部編集あり)

 

実習序盤は、養成校で受けている学習とのギャップを肌で感じて、思うように臨床に参加できなかった学生さんですが、実習後半になるにつれて、「わからないなりに、やってみよう」と治療に参加してくれる姿がみられるようになりました。一緒に治療している中で、患者さんの変化を感じとり、患者さんと一緒に共有できる場面もみられました。休みの日に、ハンドリングの勉強をしていると聞いたときは驚きましたが、「治療=難しい」で立ち止まらず、教科書に載っていないことでも、自分なりになにができるかと考えて行動できていることは大きな経験になっていたのではないかと指導者ながらに感じた所存です。

 

学生との出会いは、まさに一期一会だと思います。かつての自分も、実習でお世話になった患者様や指導者からいただいた言葉は今でも身に染みて覚えています。それだけ、リアルな臨床の現場を肌で感じることで得られる経験は大きく、自分自身とも向き合える貴重な機会でもあると思います。指導者として関わるようになった現在でも、学生一人一人を見極めつつ、どうすればより多くの経験を積んでもらえるかを大事にしながら一緒に臨床に向かうように心掛けております。

 

学生みなさんにお伝えしていることではありますが、また成長した姿で臨床の現場で再会できることを楽しみに、日々の臨床に励みたいと思っています。

長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。

 

上伊那生協病院 回復期リハビリテーション課

作業療法士 小林 和宏

いきいき百歳体操5周年記念に参加してきました!

先日、上伊那郡箕輪町で行われた「いきいき百歳体操5周年記念 介護予防セミナー ~みんなでいきいき元気な地域づくり~」に参加してきました。

箕輪町が百歳体操の取り組みを始め、5周年が経過し、今回はその5周年記念講演でした。

コロナ禍ということもあり、午前の部と午後の部に分けられ、箕輪町文化センターを拠点に、公民館等にオンラインを用いての参加となりました。

セミナーの前半は、町の取り組みについての報告がありました。

箕輪町では、行政区全15区での取り組みとなり、残りの5地区でも百歳体操が導入できるように働きかけていくと報告があり、各区への浸透率が非常に高いと感じました。

後半の講演には、久保田好正先生((株)斬新社代表取締役・作業療法士)を迎え、フレイル予防・いきいき百歳体操についてのお話を聴講致しました。

・フレイルとはなにか?

・フレイルを予防するためには?

・百歳体操の効果って?

笑いを交えて本当にわかりやすく講演いただきました。百歳体操は非常に効果的な体操であり、コロナ禍におけるフレイル予防には非常に有効であると感じました。

講演の後半では、実際に「百歳体操」を参加者と共に体験でき、非常に有意義な時間となりました。

今後は、上伊那全体に百歳体操などのフレイル予防が広がるように、色々な取り組みにも力を入れていきたいと思います。

 

作業療法士 有賀俊輔・有賀康大

藁ぼうきとちり取りのご紹介♪

皆さんこんにちは!

生活リハビリサポートいな(就労継続支援B型・自立訓練事業所、通称:リハサポ)です!

リハサポ内はいつもと変わらず、集中したり、和気あいあい(?)とお仕事をしています。休憩時間には、利用者さん同士で会話をしたり、お茶を飲んだりしています。

もちろん、マスクは着用して。。。

感染対策は十分にしながら。。。

早く、マスクなしの生活、皆さんで顔を見合って話ができ、食事ができ、旅行できる日が来るといいですね。

 

さて、本日は、リハサポ内で作っている藁を使った、藁ぼうきをご紹介致します!

この藁ぼうきは、3層に分かれている藁を3つに分け、その一番芯の部分を集めて作っています。写真のように、非常に質の高い商品で、使い勝手は抜群!

 

見た目もカラフルで、使っていて飽きがこない、リハサポの人気商品となっています!

現在、飯島町の道の駅「田切の里」にて、この藁ぼうきとちり取りセットで販売中です。(写真は販売品とは限りません。)

 

田切の里:

https://www.tagirinosato.com/

皆さんぜひお立ち寄りください!

 

生活リハビリサポートいな

信濃毎日新聞に掲載されました!

2022年5月12日付 信濃毎日新聞朝刊に作業療法としての取り組みが一部掲載されました。

まずは、以前にこちらのブログでも掲載させていただきました記事をご覧いただければと思います。

自らの生い立ちを後世に残す – 上伊那生協病院リハブログ (kamiina-mcoop.com)

この度、ご家族様の熱心な関わりで出来た「ききょう」という冊子の紹介がされ、その中で、リハビリ(作業療法)としての取り組みも一部記載いただいております。

以前より身近に感じられるようになった「戦争」について、実体験と当時の挿絵や資料写真も盛り込んであり、戦争経験したことがない我々にも非常にわかりやすい冊子となっています。

当法人内での研修にも活用予定など、若い世代にも知ってもらうきっかけになれば幸いです。

上伊那医療生協 組員センター 作業療法士 有賀康大

 

法人リハビリ部門新人研修報告会

4/16() 法人リハビリ部門新人研修報告会が開催されました。

この研修報告会は理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の免許取得後13年目までのスタッフが普段の実践報告(症例報告)を職能別で発表する機会となっております。今年も昨年と同様コロナ禍での開催となり、感染拡大を配慮しリモートにて実施されました。

当院の出口医師をはじめ、介護保険分野でご活躍されているリハビリスタッフの先輩方等にご参加いただき、多くのディスカッションが行われました。患者様の在宅復帰を支援する上でサービスの検討などのマネジメントにいつも頭を悩ませていましたが、今回の新人研修報告会を通して退院後のサービスについてのアドバイスをいただいたり、自身の臨床を振り返る機会にもなり多くの学びが得られました。 今後の臨床に活かし、患者様にとってより良い支援ができるよう努力できればと思います。

上伊那生協病院 回復期リハビリテーション課 唐澤千春

コロナフレイルには要注意!

「フレイル」…???

皆さんは「フレイル」という言葉はご存知でしょうか?

介護が必要となる一歩手前のことで、「か弱さ」といった表現をすることもあります。

このフレイルは、新型コロナウイルスが流行する前から懸念されておりました。しかし、コロナ禍の長期化により、今では多くの高齢者がコロナフレイル予備軍とされており、身体機能や認知機能低下が囁かれいます。

実際、2020年と2015年のフレイル状態の方を調べた研究では、2020年の1年間に約16%の人がフレイル状態になったと言われています。一方、2015年の調査では、約11%の人がフレイル状態になったと言われています。

つまり、この5年間で、1.5倍へとフレイル状態の人が増えたことになります。

この背景にはやはり、コロナ禍という行動制限による運動不足や社会参加不足が挙げられ、今なお喫緊の課題となっています。

フレイル予防を行うためには?

では、フレイル予防を行うためには何に注意する必要があるのでしょうか。コロナ禍に関わらずフレイル予防には、運動・栄養・社会参加の大きく3つの要素があると言われています。

①運動

冒頭にも申し上げた通り、コロナ禍により、体の機能が衰えたという方は多くいらっしゃいます。

東京大学高齢社会総合研究機関の調べでは、高齢女性に対して調査を行った結果、握力低下が全体の半数あまりに対して、腹筋や背筋などの体幹の筋量が低下した方の割合は全体の8割に上っていると言われています。

東京大学 高齢社会総合研究機構 (u-tokyo.ac.jp)

長期化している行動制限はなかなかおさまらないため、家でも外でも一人でも出来る運動をすることが、フレイル予防の第一歩です。

運動の指標として、ストレッチや体操を1日10分程度、散歩やウォーキングを1日20分程度行うがよいとされています。

そこで、自宅でもインターネット環境があれば出来る運動のご紹介をさせていただきます。以下をクリックしていただき、ぜひ動画を見ながら運動を行ってみて下さい!

【座って10分運動】【スワデキシリーズ第6弾!】座ってできる全身運動! – YouTube

②栄養

続いて、栄養についてですが、基本的にはバランスの取れた食事を1日2回以上摂ることが重要だとされています。

バランスの取れた食事というのが難しいという可能性もありますが、1日を通してうまく補っていければとよいのではないかと思います。

例えば、1回のお肉や脂質、炭水化物などの偏った食事が重なった場合、2回目・3回目の食事では、野菜を多めにとるなどの調整を図るといった具合です。

栄養素でいえば、運動の有無に関わらずタンパク質を十分に摂ることが必要です。タンパク質は、筋肉を作る効果が期待出来ますので、運動と併せて摂取するようにしましょう。

忙しい場合には、プロテインのようなサプリメントも活用するとよいと思います。

③社会参加

最後に、社会参加になりますが、「フレイルの入り口は社会参加の欠如」と言われるほど、周りの人とのつながりは重要となっています。

コロナ禍による制限で、友人や知人との交流が乏しくなった方も少なくないのでは無いでしょうか。周囲との友人や知人との交流がなくなると、気持ちも落ち込み、生活範囲が狭まります。そうすると、体の機能も衰えてくるなど、負の循環となりやすくなってしまいます。

以上のことから、コロナ禍という中ではありますが、いろんな形での社会参加をお勧めします。

特に、コロナ禍では初期の段階から3蜜(密閉・密集・密接)を避けましょうという動きがあります。感染状況にもよりますが、落ち着いている場合には対面式を行う、感染拡大や可能性が否定できない場合には、インターネット環境を活用しながらオンラインで交流するなどのハイブリッド方式とするなど、工夫の余地があると思われます。

「リモート」

「オンライン」

「インターネット」

種々の言葉アレルギーで、聞いただけ避けてしまう人もいるかと思います。しかし、ご家族や知人・友人と協力し合うなど、ぜひこの機会に触れてみてはいかがでしょうか?

最後まで読んでいただきありがとうございました。

(上伊那医療生活組合員センター 作業療法士 有賀康大)

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